ハンドケアと冷却法の併用によるCIPNのしびれ改善方法

目的

化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)改善法のハンドケア施術とCIPN予防法である手指冷却法を組み合わせた併用療法について調べることを目的とした。

方法

対象はパクリタキセル抗がん剤を使用する患者。

ハンドケア施術に加えて手指冷却法を組み合わせた併用療法の評価をおこなった(昭和大学医学部人を対象とする研究等に関する倫理委員会承認(承認番号2569)。

冷却法は、パクリタキセル投与の15分前から15分後までの90分間、両手指に保冷剤を握り持ち、常に冷却状態が保てる状態にした(A. Hanai et.al . JNCI J Natl Cancer Inst 110, 141-148 (2018))。評価は、カルテ記載の看護師による問診「化学療法副作用アセスメントシート」を用いた。

患者本人のしびれ改善度合いはVASにより測定し、アンケートで主観的評価をおこなった。主観的評価は10項目のアンケート形式でおこない、各項目の答えを5段階に数値化して評価した。

客観的評価は血圧および脈拍測定と携帯系心電図にて心拍変動から副交感神経(HF)と交感神経(LF)を算出した。

結果と考察

CIPN改善法のハンドケア施術と予防的に手指冷却法を組み合わせた併用療法では、手指のしびれの副反応が発現しにくいことが明らかになった。

施術前後で血圧に有意な変化はなかったが、最高血圧(収縮期血圧)および脈拍で有意な低下が観察できた。HFは有意に高くLFは低く観察された。

このことから、乳がん患者にハンドケア施術と手指冷却法はしびれ感を改善させることが明らかとなった。

結語

ハンドケア施術と手指冷却法を組み合わせた併用療法はCIPNしびれ予防効果が得られることが明らかになった。

この研究発表は、2022年6月18日の第7回日本がんサポーティブケア学会学術集会で実施されたものです。

佐々木晶子
佐々木晶子

昭和⼤学医学部 薬理学講座において、医科薬理学部⾨講師を務める。
公益社団法⼈⽇ 本薬理学会学術評議員。医学博⼠。


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